自己表現に何を選ぶかの三態。

 一観客として「ジャッカス3D」へ。どさくさに紛れてツナミ描写モロのネタをやってしまっても自粛に繋げなかった日本の配給側の英断に拍手したい。他は相変わらずの汚さで安心した。結局人間が笑えるのは誰かが酷い目に遭っているとか、大小便や、チンコといった下ネタしかないのは人類普遍の真理だ。でもかつての「恐怖のクソカクテル」のバージョンアップとも言える、ウンコ満載の簡易便所にスティーヴォを閉じ込めて便所ごと逆バンジーさせるのはともかく、プレストンのケツ汗をコップに溜めてスティーヴォに一気飲みさせるのは、俺もやや酒飲んでただけに若干えづいたのも事実。類似の企画や便乗ネタを跳ね返すためか、今回は無駄な3Dに加えて小人ネタや動物ネタにも重きを置いて、Jackass本来の風格を見せ付けた。断言してしまえば「アバター」なんかより、これこそバカ話できる仲間で集まって、多少酔っ払いながら劇場で観ないと全く意味がない作品であることは間違いない。


 一観客として「ブラック・スワン」へ。手短に言うなら、極めてスポーツに近い芸術の世界に予め入り込んでいるが故に、背骨となる思想が行動原理から欠落した「ファイト・クラブ」なのだった。それはスポーツでありながら限りなくショーに近づいていく世界であるが故にストイックでもあり、同時にある部分では人生を犠牲にして滑稽にも見える「レスラー」のそれと対応している。さらに主人公が狂気に陥っていく過程は、手持ちカメラ撮影とアップの多用で、「レクイエム・フォー・ドリーム」同様手馴れた気違い描写を見せてくれており、途中で登場するセクハラジジイが冷蔵庫に見えたくらい、安心して観ていられた。また、そうした試練に晒されるナタリー・ポートマンの頑張りは痛いほどに良く分かる作りとなっており、アカデミー賞主演女優賞もさもありなんとは思えるが、これが致命的に美しく撮られてはいない。それは「ケン・パーク」ばりのクンニ描写にじっくり時間を費やしてくれているミラ・クニスも同様ではあるが、別枠で登場するウィノナ・ライダーの扱いは完全に色物であるところはウィノナ的に確信犯で、「スター・トレック」以降のこうした役選びを徹底して欲しいと思ったね。 


 一観客として「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」へ。運悪くこの一作目を鑑賞してしまったせいで延々つき合わされているが、基本的に卑怯でリーダーとしてのカリスマも革新性もないジョニー・デップのキャラに感情移入できず(デップが苦手なわけじゃない)、デップ側も子供向けに狂気や卑怯さを抑え気味で何がやりたいのか意味不明。監督交代により身体欠損ネタも大幅に減り、代わりにデップがあまり逃げ回らずに身体を張る割合は向上。そして俺はこの現在におけるペネロペ何たらという鳥類系の女が苦手なのだが(単なるスペインの女優の頃は良かった)、修整を施していると見えて案外魅力的に撮れていたのには驚いた。しかし本来劇場に足を運んだ一番の原動力はジェマ・ワードでしかないので、彼女に演技をさせるかどうかはともかく、その出番の短さが大いに不満だった。あと3D的には水の場面が多いくせに、水中の揺らめきが前面に出てくるような「ナルニア国物語・第3章」でやや見直した上映形式の活かし方が継承、発展もされておらず、無駄に長い尺と相俟って苦痛な時間であった。「BEAVIS AND BUTT-HEAD」マイク・ジャッジ コレクション vol.1 [DVD]「BEAVIS AND BUTT-HEAD」マイク・ジャッジ コレクション vol.2 [DVD]ジャッカス 3 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]ジャッカス Vol.1 [DVD]アバター [初回生産限定] [DVD]ブラック・スワン 3枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー(ブルーレイケース)〔初回生産限定〕 [Blu-ray]ファイト・クラブ [DVD]レスラー スペシャル・エディション [DVD]レクイエム・フォー・ドリーム デラックス版 [DVD]ケン パーク ~スペシャル・エディション~ [DVD]スター・トレック スペシャル・エディション [DVD]パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(期間限定) [DVD]パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(期間限定) [DVD]パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(期間限定) [DVD]ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 3枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)(初回生産限定)