猿もロボットも人間の上位種族である理由。

 20世紀フォックスさんのご招待で「猿の惑星:創世記ジェネシス)」試写へ。アルツハイマー治療ウィルスの披験体を母に持つため、生まれつき優秀なチンパンジー、シーザー君は、自分を匿ってくれた研究者の育成からほぼ人間として自我を持っていたが、倫理は別腹なのでトラブルを起こす。彼は人間社会に畜生として貶められ、虐待と抵抗の中で、猿としての新たな自我に覚醒して行くのだ。だからティム・バートン版のように笑いや色気は排除した、ハードな反逆の物語であり、あれは忘れた方がオリジナル一作目の繋がりも自然。まさしく伴ジャクソンさんご指摘の、「暴動島根刑務所」のようなプリズン・ムービーとして鑑賞する方が燃えるし、猿に感情移入したもん勝ちの爽快感である。類似のビギンズ系映画でも「アンダーワールド ビギンズ」が反逆作品だったが、こっちの類人猿も「暴力脱獄」におけるジョージ・ケネディばりの役回りとか、種類も豊富で交流法も斬新かつスリリング。結果的に「28日後…」に繋がってもおかしくない反逆を生む圧制には、ハリー・ポッターを卒業しても悪役修行を積むドラコが貢献し、なぜかダニー・ボイル人脈を生かしたキャストがよりそう思わせるのかも知れない。また、猿つながりからか「ハリーとヘンダスン一家」のお父さん、ジョン・リスゴーが今度は世話される側のお父さんという配置も効いている。


 一観客として「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」へ。とりあえず長い!やはり今回もミーガン・フォックスの穴埋めに、より品のない口許のヒロインを起用。でも性格が外見に反して良さそうで、とても健気(「スカイライン」的望遠鏡シーンも担当)。今回はその私生活面での男への目配せか、「デス・レース」系マシンの増加と共に、下ネタは減ったがロボット同士の残虐行為は大幅増量なのが見どころか。思い入れがないからか、深刻になっても時制が飛躍してもこちらはあまりデメリットに感じず、「ウォッチメン」以降のデジタル大統領描写の最新型は確認できるが、前作のような合体ロボ的燃える描写のない3Dは疲れたね。それでも結果として本シリーズ初で吹替版にての鑑賞だった点は、シュワ声の玄田さんによる信頼の置けるコンボイが辛うじて集中力を持続させてくれた。しかし、ジョン・タトゥーロは行きがかり上やむを得ないとしても、マルコヴィッチだのフランシス・マクドーマンドだののコーエン兄弟系人脈は、当然ながら何の底上げとしても機能していないのがベイ映画の素晴らしさ。チャウも思わせぶり。猿の惑星 [DVD]PLANET OF THE APES/猿の惑星 [DVD]暴動島根刑務所 [DVD]アンダーワールド ビギンズ コレクターズ・エディション [DVD]暴力脱獄 特別版 [DVD]28日後... (特別編) [DVD]ハリー・ポッターと賢者の石 [DVD]ハリーとヘンダスン一家(字幕スーパー版) [VHS]トランスフォーマー [DVD]トランスフォーマー/リベンジ [DVD]スカイライン ?征服? [DVD]デス・レース [DVD]デス・レース2 [DVD]ウォッチメン スペシャル・エディション [DVD]