昨年の総括、本年早々の修羅。
一応、2011年ベストを。詳細は既に書いているので割愛。
1.「アジョシ」
2.「悪魔を見た」
3.「復讐捜査線」
4.「ザ・タウン」
5.「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」
6.「ラスト・ターゲット」
7.「キラー・インサイド・ミー」
8.「ファンタスティック Mr.FOX」
9.「シリアスマン」
10.「ヒア アフター」
ギャガさんのご招待により「ヒミズ」試写へ。とりあえず二階堂ふみが面倒臭そうだけどとても愛くるしいので、どうしても評価は甘くなる。とはいえ、相変わらずドラマを無理して露悪的に歪曲している感は否めず、ゆえに好き嫌いの分かれる作風だが、これを作家性として許容できれば問題ないだろう。それに原作を読んでなくても、監督の作品が好きならば、「化け物の幻覚が見える」などの超自然的な描写は排除されているので、それだけ純粋に監督の新作として楽しむこともできるはずだ。また、単に原作の省略ではなく、逆に「東日本大震災」の現実そのものを取り込む改変によって、“両親に捨てられた中学生”という、「池袋通り魔殺人事件」の“造田博”を髣髴とさせる(それだけにネタを同じくした『疾走』も想起させる)絵空事をこちら側に引き寄せている。しかし大人に対してこういうぞんざいな口利きのできる中学生には、俺自身そうじゃなかっただけに未来は感じないんだけどね。まぁ、そうした個人的な感想を排しても、相手の足元も属性も気にせず、ただ相手を好きになることのできる、単なるセックスレスとは別次元の(思い入れの深さだけ切実な)、大人にはできない純粋な恋愛は眩しく、監督の意図はそこに汲める。
一観客として「リアル・スティール」へ。「ナイト・ミュージアム」の監督でしかも製作がディズニーだから、見る前から展開に意外な裏切りも何も期待していなかったが、ダメな父親というテーマは継承しつつ、やはり暴力描写となると全体的にヌルいことこの上なし。ただし、ダメ親父とポンコツロボットによる、「プラレス三四郎」ミーツ「あしたのジョー」かと思ったら、「プラレス三四郎」ミーツ「某有名ボクシング映画」だったので、そこだけはやや驚いたということにしておこう。では華のないロボット造形と「トランスフォーマー」完結編を経験した観客に挑戦するような、ハードルの低い暴力性以外に何を期待すればいいのか?といえば、残るは子役ということになるはずだ。だが、健気ではあっても別に大人に媚びた子役が観たい訳ではないので、そこを加味すると肝心の子供も、踊ってるところ以外はそんなに可愛くないのだった。なので、全体的に出だしのドン底感だけが妙にリアルに“感じられて”しまうのだ。