アクション地獄/天国でしかない世界。

 アスミック・エースさんのご招待で「人生はビギナーズ」試写へ。父のカミングアウトによって動揺した孤独な男が、父の死後、恐る恐る一歩を踏み出す。引き取った父の愛犬としか話さない男の現状と父の記憶が入り乱れた案外複雑な構成ながら、監督自身の個人的な体験を織り交ぜているので、さほど混乱しない。犬の台詞や偽の生活を甘んじて生きた母(キリンで満足したライオンのモチーフ等)、シンプルなラストながら、孤独には意味があると束の間錯覚させてくれる。苦しく孤独な現実には、これ位の清涼剤があってもいいんだよ。だからメラニー・ロランも初めていい女に見えてしまった。ちなみにユアン・マクレガーは額のホクロをいつの間にか除去したと気がついた。


 一観客として「タンタンの冒険」へ。スピルバーグ作品というだけでなく、シナリオにエドガー・ライトが参戦しているという時点で、「宇宙人ポール」では実現できなかったトリオの実質上の新作なわけだが、ピーター・ジャクソンアンディ・サーキスのタッグという意味でも重要な位置づけとなる作品とは言える。だが、所々実写と見まがう完成度を持った映像に、実写では難しいカメラワークの多用など、創意工夫の見られる作品ではあるものの、「ヤング・インディ・ジョーンズ」をより幼稚にした冒険ものの域を出ていないのだ。一応続くことを示唆した幕引きではあるが、このスタイルで続けてもそれは変わらないだろう。だとしたら中途半端なリアリズムの追求よりは、本来のバンドデシネとしての手触りを重視すべきで、しかもそれはオープニングだけで充分果たされていたのだった。もちろん3Dの必然性もありゃしない。  


 一観客として「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」へ。やはりトム・クルーズはプロデューサーとしての観点において女の趣味が非常に良く、信用できることこの上ない(私生活の女の好みは信用していない)。だからこその満を持してのキャットファイトは興奮。そこにブラッド・バードがダメ押しで核兵器をネタでまだこんなに面白くアクションできることを証明してくれた。核兵器はこのところテロ描写に傾倒するアクションのリアリズム追求から、その脅威に出涸らしイメージを定着させられてしまっていたが、アクション的にはまだまだ怖い兵器なのだ。さらには独特の全力疾走も含めて、当たり前の話だが「ナイト&デイ」に対するポジを体現してくれているだけでなく、シリーズの話として細部でちゃんと続いてるのが感動的。ジェレミー・レナーも「M:i:III」におけるビリー・クラダップのような役割との想像を裏切り、マクロには一作目への原点回帰とも思える構造に再結成メンバーを活かしている。強いて言えば悪役にも強烈なコクが欲しかったが、そんな欲を上乗せしたくなるほど完成度が高いのだ。宇宙人ポール [DVD]ショーン・オブ・ザ・デッド [DVD]ホットファズ;―俺たちスーパーポリスメン!― [DVD]ロード・オブ・ザ・リング スペシャル・エクステンデッド・エディション トリロジーBOX セット [DVD]キング・コング 通常版 [DVD]スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団 The Ultimate Japan Version [Blu-ray]The Adventures Of Young Indiana Jones Vol.1 [DVD] [Import]ミッション:インポッシブル [DVD] [DVD] (2011) トム・クルーズ; ジョン・ヴォイト; エマニュエル・ベアール; ヘンリー・ツェーニーM:I-2(ミッション:インポッシブル2) [DVD]M:i:III [DVD]美しいひと [DVD]ナイト&デイ(エキサイティング・バージョン) [DVD]