フィクションへの「今日性」導入は難しい…。

 一観客として、「アイアンマン3」へ。「スパイダーマン2」における“ドクター・オクトパス”の使われ方が、「バットマン & ロビン」における“ミスター・フリーズ”の扱いの丸パクりだったように、映画におけるアメコミの展開には限界があることの吐露なのか。それともマーベルはDCに比べて設定や内容が幼稚であることの吐露なのか。要するに“マンダリン”は、「バットマン ビギンズ」における渡辺謙と同じじゃないか。予告のフードを外す後姿の頚椎辺りに、アメリカ文化の汚染されてる暗示として、「ある絵柄」が刺青されてるんだから、自らネタバレしてるわけだけど。トニー・スタークも今回で技術的に“アーク・リアクター”を装着する必要はなくなったついでに、それはヒーローとしての無敵化を意味するし、さらに外側から“J.A.R.V.I.S.”システムで全アイアンマンを制御できるなら、本人やロディがスーツに乗り込む必然性もない。つまり“アイアン・パトリオット”塗装も“ハルクバスター”登場と同じに、必然性のない顔見世としての、単なるマニア向けサービスでしかなかった。見た目が派手で面白ければ全然いいんだけど、これが今後の整合性に影響しそうだから侮れないし、これで終わりなのは正解。ごまかしの効かない実写としては、これ以上敵もテクノロジー的な均衡を維持するのは難しいだろうから、本当は毎回、“アイアン・モンガー”みたいに、みんな素直にパワードスーツ作ればいいんだよね。そもそも一作目も、社長が社内の造反で追い詰められ逆襲するのは「〜ビギンズ」だし。“キャプテン・アメリカ”もそうだけど、冷戦ありきの右翼ヒーローだから、現代で敵を設定して続けるのって、ハードなヒーロー主義者には違和感あるし、作り手にも無理を強いる。そんなに世界情勢は単純じゃないし。だから、「アベンジャーズ」に時折出てもらう程度が、ロバート・ダウニー・Jr.の健康上も、マニアが一番気にする原作の世界観を壊さないためにもいいと思う。


 一観客として、「ジャッキー・コーガン」へ。劇中、しつこく背後に流れるニュースは、日本語字幕なくて困るけど、穿てば、大統領選挙前のアメリカ人に向けの、「ブッシュ」とか「リンカーン」並みに、リアルタイムで観ない日本人無視作品なのは分かる。でも、経済的メタファーや、アメリカの時事的皮肉は知らなくても、普通に観れば含みは感づくだろう。仮に気づかなくても、ただただ、ケチな犯罪者どもの殺し合いが殺伐と展開するので、ちゃんとした原作もあるだけに素直に面白い。特に「アニマル・キングダム」の狡猾さもゼロに、常にフラフラにスマックダウンして頭が回らないベン・メンデルソーンが、「バッド・ルーテナント」のハーヴェイ・カイテルのフルチンばりに、暴走の挙句自壊する様は、「お見事!」と言いたい。犬のリードをバンド代わりにキメる場面も喫煙しながら、バックに「ヘロイン(マリファナじゃないよ!という注)」を流すなど、堅気勢に配慮したサントラも、それ自体ギャグ。経済的/政治的メタファーに基づく台詞が、細心の注意だか、殺しのプロとしての注文か、説得力ないブラッド・ピットの連続喫煙と、時折挿入されるハイスピード撮影は「ファイト・クラブ」っぽいが、フィンチャーとは無関係だし、多用してないから許せる。だから、コピーで「セブン」だの、「ファイト〜」だのを引用した、苦し紛れな日本の宣伝の所以はここにあって、一応偽りではない。でも、犯罪映画(暴力映画)に興味ない観客への訴求力にはなってなかったね。だって、上映中ここまで客の途中退場(中座ではない)多いのは珍しかったから。確かに全員グダグダで、殴ったり蹴られたりで泣くレイ・リオッタも珍しい。けど、助っ人のはずが酒飲んで下ネタ発言のみのジェームズ・ガンドルフィーニ絶品演技に対しては、俺は久しぶりに爆笑したよ!本当に、彼の欠落(夭折)で、映画の未来は確実につまらなくなった。それくらい、彼の独壇場だったんだよ。つくづくR.I.P...


 一観客として、「死霊のはらわた」へ。傑作の予感もなければ駄作の予感もなく、オリジナルが好きなら行くのが礼儀だった。でも「クローバーフィールド」の主人公の兄貴の女、ジェシカ・ルーカスが登場とあれば、それだけで俺には充分に最後まで観る理由になる。内容は「ツールボックス・マーダーズ」とか言うまでもなく、ライミへの含みか「ダークマン」や「リーサル・ウェポン」でおなじみ“ネイルガン”が、当然のように人体にフル活用され、「スペル」のステープラーばりに正しい使い方の啓蒙に貢献。さらに、「ゾンゲリア」への意識なのか、眼球串刺しをアレンジし、針が眼球と眼窩の縁に深く突き刺され、視力を失ってないのでゆっくり引き抜かざるを得ない描写は悶絶!終始こんな描写が頻発する。自傷に走らざるを得ない物語上の追い詰めは、オリジナルの手首切断等にも見られたが、今回はその痛みや肉体破壊の詳細にウェイトを置く作戦で、それはオリジナル当時と今の若者の違いに着目したということだろう。小屋に来る動機がジャンキー女の「クスリ断ち」とかの目的に象徴されるように、ドラッグや暴力の知識や経験が、予め共有された前提に基づく、共有では済まない、身近に突出する常軌を逸した暴力の表現に努めたということ。つまり、若い奴は当時より自傷に耐性があるかも知れないが、頭で知った気で舐めてる奴を叩きのめそうという、監督の悪意がちゃんと機能してる。その上で、前シリーズのアッシュ(ブルース・キャンベル)も、一度は憑依され、白黒どっちに転ぶかハラハラさせられたように、誰が最終的にどっちに回って観客がヒーロー視すべきか、大幅なツイストやスイッチを繰り返し、読めない楽しみも相変わらず。汚くて、安くて、短い割に濃くて、さらには世界観にも忠実(「XYZマーダーズ」みたくエンドロール後も注目!)、リメイクする必要の是非はともかく、ゴースト・ハウス・ピクチャーズ謹製ホラーとしての品質保証も充分だし、理想的リメイクじゃないでしょうか。アイアンマン(1枚組) [DVD]アイアンマン2 [DVD]アベンジャーズ [DVD]スパイダーマンTM2 [DVD]バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲! [DVD]バットマン ビギンズ 特別版 [DVD]キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー [DVD]『アイアンマン3』 【ハズブロ アクションフィギュア】 6インチ 「レジェンド」 #06 アイアン・パトリオット (映画版)マーベル レジェンド Marvel Legends 6インチ #11 [Legendary Riders] ハルクバスター アイアンマン カードなしムービー・マスターピース アイアンマン 1/6スケールフィギュア アイアンモンガージャッキー・コーガン [DVD]ブッシュ [DVD]リンカーン [DVD]アニマル・キングダム [DVD]バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト 【デジタルリマスター版】 [DVD]ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ<デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様)ファイト・クラブ [DVD]セブン [DVD]死霊のはらわた [DVD]死霊のはらわた2 [DVD]死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット ディレクターズ・カット版 [DVD]クローバーフィールド/HAKAISHA スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]ダークマン [DVD]リーサル・ウェポン [DVD]HILTI ヒルティ GX120 ガス式 鋲打機 ネイルガン 【並行輸入品】スペル コレクターズ・エディション [DVD]PROMATE タッカー&ホチキス プーラ 針400本付DVD名画劇場シリーズ XYZマーダーズ―デジタルリマスター版―