宇宙を支える亀の力。

 パラマウント・ピクチャーズ・ジャパンさんのご招待で「ミュータント・タートルズ」試写へ。このシリーズ再開に際し、大好きなN.Y.の“がんがんじい”こと“ケイシー”に出て欲しかったけど彼は出ない!よって次回に期待したく、本作にはヒットしてほしいのだ。というのも2007年のCGアニメ版「TMNT」は、過去のマペット版三部作の正統な続編だったのに対し、2012年から再度テレビにてフルCGの新TVシリーズも始まってるらしかったりとフランチャイズがややこしいのだが、本作では完全実写化を機に、CGテレビアニメ版とも全く違い、(「スーパーマン」の“ペリー・ホワイト”や「スパイダーマン」の“JJJ”的)エイプリルの上司や、敵の側近の日系人女等の新キャラだけでなく、“スプリンター先生”の飼い主の設定等、起源そのものをリブート。また、立体感と絶妙な汚しの実在感は、監督のフィルモグラフィーを窺わせ、同時にこれまで武器と色以外に判別が難しかったキャラの描き分けがシリーズ随一なのにも注目したい。それはパフォーマンスキャプチャーを導入した表情豊かなメンバーの存在感と、アドリブっぽく(故に十代っぽい)掛け合う軽薄さの同居によるものだ。だから初心者にも敷居が低く、製作マイケル・ベイお気に入り俳優ウィリアム・フィクトナーによる、「バットマン・リターンズ」の“マックス・シュレック”的なキャラクターは、ヒーロー映画の定石をなぞって見せるようで楽しく、かつ敵の忍者軍団“ザ・フット”が「エレクトラデアデビル」などに代表されるマーベル・ユニバースにおける忍者結社“ザ・ハンド”の“サタンの足の爪”ばりの洒落をそのまま流用したりと、さりげなく深い。率いる悪の総帥・シュレッダーも、“レザーマン”のような外殻実現により、シリーズ中最も名前に忠実なルックスだ。例えるなら「ウルヴァリン:SAMURAI」版の“シルバーサムライ”に、ベイが「トランスフォーマー」っぽいメカ加減を足したようなバランスで、敵ながら最高のデザインと動きである。また、全体に持ち味の体術に加え、今回はエクストリームスポーツ風味のアクションを意識したせいか、高所恐怖症は悶絶のクライマックスはもちろん、先行作品では「トリプルX」を上回る雪道チェイスにも度肝を抜かれた。


 一観客として「ザ・レイド GOKUDO」へ。なぜ前作があるのに邦題はは「2」でないのか?見て何となく分かった。話は完全に続いてる。が、前作とは比較にならないスケールと尺の長さである。それでもインターナショナル版と比べれば四分ほど残酷な暴力描写を切りR指定に持ち込んでいる。それでも全編無駄がなく容赦ない暴力アクションのハイブリッドなつるべ打ちである。それでいて物語にも潜入捜査官ものなのでサスペンスも横溢。なのに切ってるはずのインター版の暴力シーンを後にチェックしても予告にあった、北村一輝のシーンが見当たらない。ネットを探せば泣く泣く切ったシーンのいくつかも確認できるが、いずれもハイクオリティなバイオレンス満載にもかかわらず、共通点はあまり主人公に関係ないことであった。惜しいがその基準で切らなければ、バイオレンスアクションとして異例の三時間級の大作となり、アジアのマイナー映画として上映に大きな制約を受けるだろう。こうしたマーケティング上のやむを得ない事情があり、今後は単純に三時間超のディレクターズ・カットが見てみたい。恐らくそれで初めて日本人キャストの活躍を目にできるんじゃないだろうか?もちろん残りの本編でも殺し屋三人の活躍と、刑務所暴動の長回し風の切れ目なき残虐性、シラット特有の間合いの極端な詰め具合には目を瞠る。さらに刺突や切りつけに向かない刃のため、形状は美しいが本当は扱いにくいナイフ、カランビット同士のファイトを流麗に見せる点では「アジョシ」を超えた。なお、前作と多少ルックスをいじり別人として、よりルンペンテイストを極めたヤヤン・ルヒアンの意外な哀愁にも泣かされ、彼は三池崇史の新作にも出る以上、将来アジアのダニー・トレホに化ける可能性も大で、その特殊なルックス含め、今後も目が離せない。


 一観客として「インターステラー」へ。隣に白髪のジジイと座った六十代のババアが上映中ジジイに頻繁に内容を聞き、静謐な場面が多い作品を大変に毀損された時間だった。これでババアも俺も払うカネが同じなのは納得できんね。というのも、初めのうちはコールドスリープ描写に、「お風呂入るのね」などど微笑ましい部類だったが、話の捻れにつれババアのジジイへの質問は熾烈を極め、ミュートすらせず答えに窮するジジイへ連発するもんで、俺はエメリッヒ版「GODZILLA」の劇場以来、マナーの悪い隣客を肘で制して黙らせたよ。それでも今度は肘の届かない端に逃げ、まだ時折喋りやがるんで、殺意に目が眩んだ。しかし、そんな状態でも難解さも感じず見終えられたのは、俺の中にはスクリーンで起きる事態と照合するだけの藤子・F・不二雄先生のSF短編集からのSF的知見が下地にあったからだ。つまりこの条件下(F先生SFを通過してる)なら誰でも理解でき、先読みと展開に膝を打つ喜びがあるのは保証する。ババアの鑑賞マナーが悪いのは理解度の低さも大きく、それはババアがF先生SFを通過してないであろうという点に尽きる。また中盤以降はクリストファー・ノーランによるキューブリックへのオマージュで満たされるが、むしろ日本人にはF先生オマージュじゃないの?と錯覚するほどの親しみやすさ。だって、「ノスタル爺」、「あのバカは荒野を目指す」、「宇宙人」、「一千年後の再会」、「あいつのタイムマシン」って、テーマ的に被るF先生の諸作を並べれば、鋭い人はネタバレにすらなってしまうはず。それだけ多く重複要素を持つので、あえて物語にも触れない。もちろんF先生の短編はオリジナルというより、これも過去の先達のオマージュという色彩が強く、そうした名作が持つSF的発想をコンパクトに我々へ涵養した偉大さが示された映画だった。付け加えるなら、ご多分に漏れず先行オマージュ、「コンタクト」や「ミッション・トゥ・マーズ」(マット・デイモンの件だけは「レッド・プラネット」入ってて笑った)同様、普遍性を入り口に極めて個人的内容に帰するのも見事に敷衍している。そして無神論の徹底においては「2001年宇宙の旅」を凌駕している。ちなみに帰りにツラが見えたババアは、その無反省な尊大さも含め、京都・青酸化合物連続保険金殺人犯と瓜二つで、本当にその場で八つ裂きにしたい衝動を抑えるのに必死であった。殺意(復讐心)、これもまた愛と同様に一つの指標を人類に示す、引力となり得て欠くべからざる心の力である。Teenage Mutant Ninja Turtles [Blu-ray] [Import]Teenage Mutant Ninja Turtles (Blu-ray + DVD + Digital HD)仮面ライダーシリーズ ワールドコレクタブルフィギュアvol.10 【KR080.がんがんじい】ミュータント・ニンジャ・タートルズ2 [DVD]ミュータント・ニンジャ・タートルズ3 [DVD]ミュータント・タートルズ-TMNT- 特別版 [DVD]マン・オブ・スティール [DVD]スパイダーマンTM [DVD]スパイダーマンTM2 [DVD]スパイダーマンTM3 [DVD]バットマン リターンズ [DVD]エレクトラ [DVD]デアデビル/ディレクターズ・カット [DVD]ウルヴァリン:SAMURAI [DVD]けっこう仮面 コンプリート・コレクション〈2枚組〉 [DVD]LEATHERMAN(レザーマン) Wingman ウイングマン 【LTJマーク入日本正規品】 WGMSトランスフォーマー トリロジー DVD BOX(5枚組)トリプルX(買っ得!THE 1800) [DVD]ザ・レイド GOKUDO 北米版 / The Raid 2 [DVD][Import]ザ・レイド [DVD]GODZILLA 【60周年記念版】 [DVD]藤子・F・不二雄SF短編集<PERFECT版>2 定年退食 (SF短編PERFECT版 2)藤子・F・不二雄SF短編集<PERFECT版>4 未来ドロボウ (SF短編PERFECT版 4)藤子・F・不二雄SF短編集<PERFECT版>3 俺と俺と俺 (SF短編PERFECT版 3)藤子・F・不二雄SF短編集<PERFECT版>6 パラレル同窓会 (SF短編PERFECT版 6)コンタクト 特別版 [DVD]ミッション・トゥ・マーズ [DVD]レッド プラネット 特別編 [DVD]2001年宇宙の旅 [DVD]