映画の日、そしてその残滓。

 六月一日、映画の日。寝坊したので今月は三本。
 一本目、「クローサー」。基本的に恋愛ドラマだと思って観る奴が多いと思うがそれは間違い。結局人間のエゴイズムと、望まない結末に何故か向かってしまう、その無意識の意志、そしてそれが生んだ悲劇を描きたいんだと思う。学がなくて、いろんな奴にオマンコ見せまくりのナタリー・ポートマンが唯一観客的にまっとうな感情移入をさせる役だったというのは皮肉か。どいつもこいつも最悪のへヴィな物語。だったらちゃんと脱いでいるところも封印しないで見せろよと思うよ。あのシチュエーションでオマンコ見せられるってのはかなりツラいと思うが、それでこそ本作の正当な評価につながるってもんだ。ポートマンの印象も変わると思う。でもサントラは良かったよ。

 二本目、「ザ・インタープリター」。マジメで切れ者ショーン・ペンが新鮮だね。傷はあるけど、そこに振り回されていないところが少し弱い。みんなショーン・ペンの“弱さ”が観たいんだぜ。ペン的には「リチャ−ド・ニクソン暗殺を企てた男(この邦題何とかならんか?)」に期待。意外と話はまともだった感じだけどね。暗殺やテロがテーマなら、「ジャッカルの日」ぐらいの緊張感を持って臨んで欲しかったんだけど。それをスゲー意識しているのに足りてないね。ニコール・キッドマンの役は実際南アフリカで幼少時を過ごしたシャーリズ・セロンがやるべきだと思う。セロンのトラウマに肉薄してこそこの役は説得力が出るのだ。多分断らないと思うし。

 三本目、「ミリオンダラー・ベイビー」観る前に知人と偶然会いビックリ。「イン・ザ・プール」を観に行くんだと。それはそうと、やっぱ評判通りの凄まじい出来。「ロッキー」とか「ベスト・キッド」みたいな話だと思っていると痛い目を見る。わざとそんな宣伝している節があるし、悪意を感じて好感が持てるぜ。まあヒラリー・スワンク的にはこの役を受けたのはそう見られることを見込んで受けた部分があると思うし、イーストウッド的にも起用の理由はそこにあると思う。だから、前もって知っていたが、イーストウッド、安易な結末は断固拒絶ってこと。
 当たり前だ!星の数よりこの世界は闇の方が深く、広い。そこに埋もれていく人間の方が多いんだ。俺もそうなってしまうのか、と言う危惧と、そうならないように現実を破壊する手段を模索しなければならないと言う感銘につながった。加えて書くと、俺のように「弱い女」が大嫌いな人間には欲情も出来る貴重な作品だ。必要以上にしたたかである必要はないが、女は肉体的に強くなければならぬ。

 次の日、渋谷のタワーレコードに「西田佐知子 ゴールデン・ベスト」を買いに行く。レンタル屋にもなかったからな。聴くがなかなか。それまでこういうのが無かったなら、新鮮だろうね。後発だから当然だけど、カバーの藤圭子の方が俺的には好みだけど。伝わるものはあったよ。

 帰りに池尻の「龍の子」で担々麺を。中華テイスト全開ではなく、日本のラーメン文化のエッセンスも入れてあって、俺的には非常に良い担々麺だった。ロッキー DVDコレクターズBOXベスト・キッド4(字幕スーパー版) [VHS]ゴールデン☆ベストcloser / クローサー [DVD]リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 [DVD]ザ・インタープリター [DVD]ミリオンダラー・ベイビー 3-Disc アワード・エディション [DVD]イン・ザ・プール [DVD]