ここが木の虚ならば。

 吐き出そう、死んでいる人間の虚ろな生きている証を。
 
 7/12、ワーナーさんに招待いただき、「アイランド」試写。クローンだ何だのを抜きにして単純に楽しめたのがグッド。劇中、主人公たちがどう考えても絶対に死んでいるシチュエーションがあったが、その部分の説得力のなさを除けばこの映画は、俺の個人的な思い入れにおいて正解だ。なぜなら、外見は大人でも、心が完全に子供が主人公だからなのだ。中でも実際にはただの子供であるスカーレット・ヨハンソンを瑞々しく捉えたのは特筆に値する。同時に、ユアン・マクレガーが、チン毛の生えたてのガキにしか見えない無垢(に見える)笑顔を持っていることに気づかされた点でも。

 7/13、エディ・リトル「アナザー・デイ・イン・パラダイス」読了。ひたすらリアルなヘロイン描写の連打だが、主人公の恋人があっけなく死ぬところが最大のリアリティ。そこに何の感傷もなく、ゴミのように死んでゆく。あとからじっくり感傷が湧いてくるようにサラッと書き流しているところに、俺は単純に鳥肌が立った。だが人の生きる暗黒など、みんなこんなもんさ。孤独じゃないだけいいじゃないか。どいつもこいつもよ。アナザー・デイ・イン・パラダイス