映画行脚、孤独の感傷、その他。

 朝一、「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」Web告知の時間間違えてるぞ。早く起きて損した。40分遅れでスタート。どんなに安穏と暮らしていても、体制が転覆されれば反体制に回ってしまう可能性大だな、どこにいたって、罪を犯していなくったって、獄に繋がれる可能性は生きている限り消えないんだな〜、なんて事を考えながら、映画にそんな高尚なテーマはないけど、必要以上に悲劇性を煽った展開にいきなり疲れた消化試合。暴力満載で、ベイダーが殆ど四肢失っているのはいいなと思ったけど、あの世界観でひたすら見せられてもリアリティのかけらもないぜ。それだけは断言できる。このネタでバカ騒ぎするのウザいんで、終わってくれてホッとした。

 「チーム★アメリカ ワールドポリス」確かに下らないんだけど、文化人面して政治に意見しようする、現代アメリカの俳優たちをコケにするばかりで、全方位的にどいつもこいつもコケにし倒そう、という気概がない残念な作品。せっかく向こうでは大統領選前に公開してるのに。しかもコケにするスター達への悪意も足りない。かといって他の部分で下品かというと、(俺の基準では)それも大したことないのだ。
 確かにゲロの量は大盤振る舞いしてるが、ウンコも小便もない。これじゃピーター・ジャクソンの「ミート・ザ・フィーブルズ」に勝てんよ。いや実はウンコシーンを撮っててカットしたのは知ってるけど、あれは入れるべきだよな。だって肝心の人形同士のハードコア場面にしても、チンコもマンコも出て来やしない。ま、そんなシーンに目くじらを立てる連中への当てこすりなんだろうけど、「フィーブルズ」はその点、低予算なのにレイティングだってクリアしていたよ。本作はカネかけてんのにそれが完遂出来ていないのが本当にもったいない。ショーン・ペン(人形)だって本人が本気で怒るほどの活躍してないし(要するにそれで怒るって事は彼の小ささが露呈されたんだが)、潤沢な資金に見合った悪意が発揮できてないのよ。でも、クソセレブの死に様は必要以上に残酷で良かった。将軍様はフィギュア化されたら買う!

 六度目の正直にして食することが出来た、新宿MYCITY内のくじら軒での昼食挟み、「マルチュク青春通り(原題:マルチュク通り残酷史)」、韓流ババアに阿らず、原題通りやるべき。どうせババアには理解できないんだから。カンフーハッスルを軽く超えたブルース・リー愛だ…!それは、暴力の後味の悪さも含め、キッチリ描いているということ。ブルース・リー映画の偉大さはそういう点にもあることを、この監督はよく理解している。胸キュン描写も効果的なくせに、俺にはそんな美化すべき青春すらないことに泣けてきた。孤独さだけが染みるぜ。こんな事も、こんな映画経験さえ誰とも分かち合えないとは。残った栗の花臭い描写、プラス、とにかく暴力的、何でもかんでもいる人間全てが暴力で解決しようとする男子校ならではの支配律(脱童貞シーン含む)だけが、男子校出身の俺の個人的なリアリティ。

 「ヒトラー 最期の12日間」総統かなりイッちゃって、「誰か止めてやれよ・・・」みたいなコント場面は良かった。要するに体制がキッチリ出来てしまうと、主要人物なんていなくてもそれ自体、生き物みたいに機能してしまうって映画。あと悪魔みたいにいっつも言われてばかりの総統も、実は女子供には優しい人間的なバランス感覚をまだ持っていた人でした、っていう当たり前だけど誰も言えなかった事を言った映画。結局総統自身も、藤子不二雄A先生の描く「ひっとらぁ伯父サン」そのものだったってこと。総統が死んでからが長い、ダレるが、この映画については多くを語りたくない。どうせこんなのマジメに作られたって、日本じゃマニアが狂喜するだけなんだよ。マニアへのサービスじゃないのにね。

 あと最近はロブ・ライアン「9ミリの挽歌」読了。黒いネタが少ないので極めて平板に進んでいく復讐ものだが、個々の描写は忘れがたい部分がある。たとえば、腹をショットガンで撃ち抜かれたら、現場はクソ臭くて堪らない、なんてリアリズム。別にくまのプーさんを下敷きにしたことを強調することはまったくないんじゃないかね〜。ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス [DVD]カンフーハッスル コレクターズ・エディション [DVD]ブラックユーモア短篇集ひっとらぁ伯父サン (Chuko コミック Lite 37)9ミリの挽歌 (文春文庫)