映画日和ではあったが・・・。

 前日痛飲してしまったので、寝坊により9/1の映画の日は2本。
 「ランド・オブ・ザ・デッド」はとにかく最高だ!確かにレイティングの関係で切られたと覚しき箇所は明らかにあるものの、単なる残酷描写に留まらない終末観に満ちている。世界の終わりをこれほど体感させてくれる映画も珍しい。それだけでなく、終わって、そのさらに突き抜けた絶望の世界を、明確なビジョンで塗りたくることができるのは、自身が作り出したジャンルであるという点でロメロに迷いはない!
 昨年の「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」のリメイクの成功という後押しがあってやっと実現した本作だが、原点としての威厳と拘りは尋常のものではなく、作家としての主張したい部分は最低限盛り込んである。この成功が例えリメイク「ドーン〜」のお蔭であっても、そのオリジンはロメロにあるし、影響下にあるクリエイターが今や一線に出て来たことで、その評価は単なるゲテモノの域を超え、さらなるクロニクルの発展を促す追い風となるだろう。ベタ褒めしても、本作はその新たなプロローグに過ぎないぞ。

 「南極日誌」、俺はある程度予備知識はあったが、何も知らずに「南極物語」のような作品を期待した奴は度肝を抜かれるかも知れない。極限状態での狂気の物語。
 ただ舞台が広大すぎるので、「遊星からの物体X」みたいな閉鎖空間にしないと冗長な展開になってしまい、同じような風景が多いものだから、時間より長く感じた。加えてソン・ガンホのような極上の「イイ顔」俳優を使っておきながら狂気のスパークが足りない。スプラッターが足りないって言っているんじゃない。そんなのは狂気の表現では重要じゃない。これは致命的。だが氷に閉ざされ、孤独故に狂気にゆっくり蝕まれていく姿は、まるでこの俺だ。そして、南極探検隊の彼らは、仲間がいるだけまだマシというものだ。
 本編とは関係ないが、収穫はパク・チャヌク監督の復讐三部作の完結編、「親切なクムジャさん」の予告編が見られたこと。イ・ヨンエの美しさに鳥肌が立つ。今回は「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクが悪役。極悪復讐劇を期待する。みんな殺してしまえ。
 本当は予定していた「愛についてのキンゼイ・レポート」見逃したのは惜しい。愛なき世界へ哀しみを深めるために必要だから。でも、新宿でしかやっていないんでこの日はあきらめることにする。安売りチケットでも買って、また別の日に行くさ。ドーン・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット プレミアム・エディション [DVD]ゾンビ 米国劇場公開版 GEORGE A ROMERO’S DAWN OF THE DEAD ZOMBIE [DVD]南極物語 [DVD]遊星からの物体X ― コレクターズ・エディション [DVD]オールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]