より深く、より赤剥けの愛。

 ワーナーさんのご招待で、音楽プロデューサー・和気優氏とティム・バートンの新作「コープス・ブライド」試写へ。今回のタイトルにもあるように、その世界はただ絶句するばかり。「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」では淡い恋心で止まっていた感情が、一気に愛となって噴き出す。愛に近づけば近づくほど、その内包された感情は切ない余韻を残す。世界観は以前はファンタジーだったが、今回はよりダークで身近な死の世界。表層を深めることで、表現も深化した。「〜チョコレート工場」が良作ながら失敗の許されない大作で、しかも極端な歪曲を許されない原作ものであったせいか、本作こそ、人形アニメという表現形態だからこそ、バートンの純粋な世界観は出ているように思う。もう一度行く。そして今度は泣きたい。

 先日読了したのは、ジェイムス・カルロス・ブレイク「無頼の掟」。乾いて、情熱があって、1920年代の設定なのに軽い。そして、途方もなくタフだ。読み易いかと思われたが、結構時間が掛かった。たぶん感情移入しやすかったんだろう。セックス描写や、若者しか持たない起爆力に。その他は文庫化をされたのを機会に購入していた、柳下毅一郎「殺人マニア宣言」を再読。俺は原著の「世界殺人ツアー」を国会図書館で読んでいるが、やはり面白い名著。人間の業に、現実感の薄い海外から触れていくには最良の入門編だ。悪の本質により迫っていく決意を新たにできたね。人間の深奥にある、俺にも、誰にも、テメエらにも必ずある悪を殺し尽くすための。ナイトメアー・ビフォア・クリスマス ― コレクターズ・エディション スペシャル・ボックス [DVD]チョコレート工場の秘密 (てのり文庫 (566C008))無頼の掟 (文春文庫)殺人マニア宣言 (ちくま文庫)世界殺人ツアー―殺人現場の誘惑