左右違うブーツを古着屋に誂えられた…。

 夢から覚めて行った試写はFOXさんにご招待頂いた、「イン・ハー・シューズ」、「イントゥ・ザ・ブルー」とタイトルの似た二本。でも中身は全然違う。

 前者「イン・ハー〜」はジェイムズ・エルロイの「LAコンフィデンシャル」を改悪しながらも一定の評価を得たカーティス・ハンソン作品。職人監督らしく、同様に職人化が著しいリドリー・スコットの助力で撮り上げたのは、対照的な姉妹の確執と自分探しの物語だった。
 「そんなものには死ぬほど飽きてしまった。」(byエルロイ)と言える凡庸なテーマにもかかわらず、愛に裏切られた者の哀しみと再生を丁寧に描いているのは職人の鑑!と言える。
 そう感じたのは賞味期限も近い(過ぎているのかも…)キャメロン・ディアスを立てた作りなのかと思っていたら、意外にも姉を予想外のブサイクな役作り(肉体から!)で挑んでいた、トニ・コレットのおかげかも知れない。俺は欲望やしがらみに信義が敗北するのを数多く見て来たから、特に感情移入する。
 最後の泣き所らしき場面では愚か者のすすり泣きが聞こえたが、本作の秀逸さはそんな所にあるんじゃない。姉妹の相克を血縁で丸く納めてしまう所なんだ。血縁のある者を思いやる気持ちを忘れてないか?って所に落ち着かせることで収集をつける方向性を手際よい仕事として評価する。適度に深遠にせずテーマを逸らし逃げ切る。コレが大事。信義と愛についての結論?出る訳ねぇじゃん、そんなもん。映画にそんなの求めてないからいいの!映画は終わるが、人生は続くけどな。
 もちろん、俺的にはまだ全然いけるキャメロン・ディアスのアーパー妹は、観賞する、って意味においては、個人的に文句なし。欲情するぜ。

 続く「イントゥ〜」は、ジェシカ・アルバの完全美観賞映画、と思いきや、「シャーク・トレジャー」のリメイクと言われているだけあって、外見は軟弱明朗リゾート巨編だが、中身は海洋ゲテモノ・バイオレンス大作としては健闘していたと思われる。えげつない人間の欲望を黙って見ている青い海。人間はどこまでも愚かだ。それにとってつけたような「愛こそ全て」というオチや、バカアクションの条件は詰まっている良作。俺は閉所恐怖症なので、辛いシーンも多々あったが、俳優の身体能力の高さに頼る部分が大きい作品って意味では力作なんじゃないだろうか。あんまりジェシカ・アルバのサービス・ショットはなくて残念だけど。

 さ、一日は俺に降るチャンスの天使と「SIN CITY」行けるかも。 L.A.コンフィデンシャル [DVD]