スーパーマンは帰ってきた。では、正義は?

 ワーナー・ブラザーズさんのご招待で「スーパーマン・リターンズ」試写へ。これは観て驚くほどの、かなりちゃんとした続きなんで、前のシリーズ押さえてないと辛いかも知れない。
 中学生のときに「ロボコップ」と迷った挙げ句、悪名高い「スーパーマン4・最強の敵」を観てしまった俺としては、「3・電子の要塞」はもとより「2・冒険編」の続きとして始めてくれる姿勢には、俺の過去の過ちを無かったことにしてくれている様で心地良い。そんなことは別にしても、今にしかできない驚愕のビジュアル満載(スーパーマン単体のアップさえも、CGのみで表現されているカットがある!)で、最新のビジュアル・エフェクツがどういうもんか押さえておきたいなら、これは必見だと思ったよ。
 俺はやはり悪役贔屓なんで、レックス・ルーサー役のケヴィン・スペイシーには期待していたが、飽くまでもスーパーマンの世界観を壊さない範囲での好演。前シリーズで同じ役を演じたジーン・ハックマンへの、これは最大級の敬意からかも知れないな。日本人の視点で言うと、「タイムボカン」シリーズまんまの憎めない悪役像が微笑ましい。
 主役に関しては、これは発表当初からそのルックスがカッコ良過ぎるんで正直不安だったが、他のキャストと並ぶと思っていた以上に背が高く、クラーク・ケント時のデクの坊振りには事欠かなかったんで、まぁいいか、って感じ。特にヒロイン、ロイス・レーンの婚約者、ジェイムズ・マースデン(「X-MEN」のサイクロップスとスーパーマンの競演だ!)と並ぶと、その身長差は歴然とデカく、他のアメコミヒーローならいざ知らず、やはりスーパーマンとなると、そのタッパが発する存在感というのは大きい、ということを思い知らされる。
 スーパーマン役というのは、一見アホ臭いあのコスチュームを着て輝くからこそいいんであって、アレを着てない限りはただの筋肉バカ、いや、そうとすらも見せない、平服では限りなく間抜けに見えることが条件な訳で、そういう意味ではクリストファー・リーブの存在感はやはり無二のものであったと、今更ながら感じさせてくれる一本だった。それだけに、エンドロールで提示された、「クリストファー・リーブ夫妻に捧げる」の文字を見ると無条件に胸が熱くなる。
 余談だがヒロインを演じたケイト・ボスワースは、俺を現状の緩慢な死に追い込んだ張本人の気違い女に非常に良く似ている(前に書いた中村麻美÷2ってことだ。そんな女を見たら気をつけろ!間違いなくキチガイだぞ。)。そのために愛憎半ばする気持ちで、姿を消していたうちにいつの間にかコブ付き女となり果てていた彼女を見つめるスーパーマンの絶望感に気持ちが共振したが、ボスワースの美しさはさておき、ヤツにはそんなハッピーエンドは訪れない。狂気が治療され、その後に己の罪を悔いて自害するか、気付かぬまま己の不遇を嘆いて自害するか、でなきゃ野垂れ死にだ。そうであって欲しい。それがスーパーマンの体現している「正義」ってやつさ。ロボコップ 〈特別編〉 [DVD]スーパーマン 3 電子の要塞 [DVD]スーパーマン 2 冒険編 [DVD]タイムボカン DVD-BOX1X-MEN <特別編> [DVD]