昨年の世界から来たものの正体。
2013年の劇場鑑賞作品ベストは、誰もが誉めるのが確実なものは敢えて除外しました。詳細は鑑賞時に書いているので割愛。
1「クラウド・アトラス」
2「イノセント・ガーデン」
3「悪の法則」
4「セデック・バレ」
5「コズモポリス」
6「欲望のバージニア」
7「ジャッキー・コーガン」
8「ホーリー・モーターズ」
9「マニアック」
10「偽りなき者」
20世紀フォックスさんのご招待で、「ウォーキング with ダイナソー」へ。「トータル・リコール」や「ロボコップ」等のリメイクブームに続いて、ポール・バーホーベンの志を継ぐ企画イメージを本作に持っていたが、「ダイナソー」と違い、実景への限りないこだわりによって、かなりの差別化が実現された作品である。CGアニメ部分とドキュメンタリー的部分の監督二名態勢で臨んだだけのことはあって、まず主人公に外見上の特徴(傷)を与えないと、他の個体と見分けがつかないほどの、恐竜そのものの描写力に加え、ドキュメンタリー的実景とCGアニメの融合だけでなく、3Dをトッピングすることでほぼ完全な異世界のルックを獲得している。さらに、何となく顔出しが嬉しそうに見えるカール・アーバンの隠れキャラ的出演はドキュメンタリー的な外観を劇映画としても鑑賞なグレードに引き上げた。なお、それでいて間に挿入される恐竜図鑑的説明という、動物ドキュメンタリストならではの親切さが残されている点が恐竜初心者にはありがたい。個人的には作品紹介の過程で知った、「鶏のくちばしに歯を生やす情報が含まれていた」などの最新の研究結果が生かされた始祖鳥のようなサブキャラクターも、俊敏な動きがもったいなくなるほどの繊細な描写であり、幅広い恐竜のバリエーションが楽しめたのであった。
一観客として「REDリターンズ」へ。てっきりキャスティングでジジイと若者の世代間闘争の話になるのかと思ったら、イ・ビョンホンは単なるブルース・ウィリスの現役時代の因縁の仲で、ゆえに全体のジジイ度を低下させただけなので、失望すること山の如しである。しかも役回りと脱ぎ要因としての立ち位置が“ストームシャドー”と同じなため、本作での全体的な流血描写の回避にも増して殺気のクオリティーを下げてしまっているのは残念極まりない。なのであくまで続編ものとしての楽しめる部分と言えば、ジョン・マルコヴィッチがまともになってるとか、ウィリスが女にこだわる分、前作より面倒臭いキャラになってるという、映画としてキックが減少した部分においてのみだったのだ。とはいえ、今回揃い踏みのダブルレクター博士(コックス&ホプキンズ)に限らず、登場人物全員の殺しへのためらいのなさは相変わらず物騒な雰囲気を維持してるので、そこは原作由来の笑いどころとして残されてるとは言えるかも知れない。また、“ペコちゃん”みたいなメアリー・ルイーズ・パーカーの目や、風変わりでも強烈な誘引力のある顔の造作が多角的に堪能できたので、「ゴースト・エージェント/R.I.P.D」も観ておけば良かったとは多少感じたのも事実である。どっちの軽いアメコミ映画化度合いも似てるしね。